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DXを視野に入れた海外拠点管理のポイント Vol.1

本コラムは、2020年10月1日発売の「旬刊経理情報(中央経済社刊)」に寄稿した記事を3回に分けて転載しています。

DXを視野に入れた海外拠点管理のポイント

(1)経済活動の停滞
 いうまでもなく、緊急事態宣言や各国の国境の閉鎖により、これまでの経済活動の延長線上では立ち行かない状況となっている。
現在は経済活動再開により多少回復傾向にあるが、観光・宿泊、外食、自動車業界を始め多くの企業にネガティブなインパクトが出ており、複数のポートフォリオを組むことが一般的となった現行の企業形態においては、結果としての業績は別として国内企業全般が何かしらのネガティブなインパクトが出ている状況ではないだろうか(図表1)。

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(図表1) 国内企業におけるネガティブなインパクト

(出所) xenoBrain(ゼノブレイン)『新型コロナウイルス業界影響AI予測レポート(全63業界完全版)』6~10頁をもとに筆者作成

 「タイ、ニュージーランドの工場が、政府からの要請により完全停止せざるを得なかった」、「新型コロナウイルス感染症の影響で海外の工場で市況悪化に伴う減損が発生し、その減損の検討について必要な海外からの情報が届かない」という声もあり、強制的な経済活動停滞を余儀なくされていた企業も多かったと想定する。

(2)人の移動の制限
 国単位での移動の制限はもちろん、国内での移動の制限も多くの国で行われている。これまで親会社から駐在員を配備することで、決算や海外統括拠点管理を実施してきた企業においては、方針の再検討の必要性が出てくる可能性がある。たとえば、「連結決算において海外拠点からの情報収集が間に合わなく、一部見込金額を使わざるを得なかった」、「ロックダウンした海外拠点では1週間遅れで数字が報告されてきた。また、現地会計事務所へ委託している子会社は現地で数字作成ができず、親会社で代行した」、「もともと4月より駐在員を交代し海外統括拠点のサブ連結決算対応を予定していたが、海外渡航ができなくなったため交代できずにいる」等の事象が挙がっていた。

(3)新たな価値観の発生(マーケットの変動)
 (1)と相反する形で、ソーシャルディスタンスを始めとする新たな価値観が明確に発生した。ウェブミーティングの爆発的な普及にみられる「リモート化」は今後の1つのキーワードとなるだろう。また、これまでも推進の必要性が挙げられていたDXにおいては、現行業務を変更せざるを得ないこの環境が、その推進をより加速していくことになると考えられる。実際に「リモートワークは可能だが、印刷できないのは案外痛い。思いのほか紙でチェックしていたことに気づかされた」、「紙に印刷して赤ペンでチェックしていたので、それをエクセルだけでやると俯瞰的に確認できない」、「内部統制強化、エクセル業務からの脱却の推進が求められている」、「ワークフローにおける紙面への押印業務が決算のボトルネックとなった。当該業務の電子化を検討している」、「親会社では普段使わないVPN(Virtual Private Network)をリモートワークのために利用したが、全社員がVPNを使ったことから回線が混雑しており業務にならなかった」という声が上がっており、急激なリモートワークへの切替えによる、システム関連の課題感を多く持たれていた。

ウィズコロナにおける海外拠点管理のポイント

 このような状況変化のなか、どのようにして制度決算、マネジメント双方における海外拠点管理を行っていくべきか、考えられるポイントを次に記載する。

(1)柔軟性かつ瞬発力のある情報収集
 このパンデミックの状況下においては、世界中の人々が「想定外」という言葉を何度も味わうこととなった。このような先の見通しが難しい状況下においては、状況がより把握しづらい海外拠点ほど特に、細かな情報連携および軌道修正が必要となる。そのため、制度会計情報はもちろん管理会計や非財務情報のような事実と予測に関する情報を、海外統括拠点にてスピーディに収集・管理し(あるいは親会社にて直接収集し)、グループ全体の意思決定情報として共有できるしくみがより求められると考える。

(2)リモートでのサポートを可能とする基盤の構築
 人の移動が制限され、現地での業務が困難となるなか、海外統括拠点へ駐在員を置けなくなるケースは今後増加することが想定される。このような状況においては、海外統括拠点内および親会社と海外統括拠点間のネットワークを駆使し、リモートでの業務度合いを高め、現地の駐在員でなくてはできないという属人的な業務を極小化するとともに、業務標準化を促進し親会社でも代行可能な業務範囲を増やしていくことで、業務を冗長化するためのしくみ整備が1つの対応策として有効となると考える。

(3)親子関係を考慮したガバナンス方針の定義としくみづくり
 前述のリモート対応が進むなかにおいては、ガバナンス施策の検討はセットで必要となる。業務同様に、親会社の人員を海外統括拠点へ駐在させる「人に依存したガバナンスの確保」という方針は再検討が求められると考える。親会社と海外拠点間の関係は海外統括拠点の有無や持株比率、買収後の経過年数等によりさまざまであるため、両社の関係を考慮のうえ最適なガバナンス方針を定め、システムを用いてしくみ化することが求められる。

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